相続登記に期限はある?2024年の義務化や手続きについて解説!
投稿日:2023.03.06/更新日:2023.09.22
相続登記に期限はある?2024年の義務化や手続きについて解説!
不動産を所有している方が亡くなった場合、亡くなった方から不動産の名義を相続した方に変更する「相続登記」とよばれる手続きが必要となります。
従来、この相続登記には期限がなかったため、名義変更をせずに放置されることが少なからずありました。
しかし、今後は相続登記の手続きが義務化され、期限内に行わなければならなくなります。
しかし、相続登記が期限付きで義務化されるとなると、「どこで手続きができるのか?」、「手続きはどうやればいいのか?」、「どういった書類が必要なのか?」といった疑問や不安を抱く方も多いことでしょう。
そこで本記事では、これらの疑問を解消していきます。
Contents
相続登記の期限とは
そもそも相続登記とは冒頭でも紹介した通り、不動産を所有している方が亡くなった場合に、対象の不動産を相続した方に名義を変更するための手続きです。
たとえば、自宅およびその土地の名義が父親で、父親が亡くなった後に法定相続人である配偶者やお子様が土地と建物を相続する場合、それぞれの不動産の名義を父親から相続した相続人へ変更しなければなりません。
従来、相続登記に期限は定められていませんでしたが、法改正にともない、2024年4月からは「相続の開始があったことを知り」、かつ「当該所有権を取得したことを知った日」から「3年以内」に登記手続きをしなければならないルールへと変更になります。
2024年の相続登記の義務化について
2024年から施行される相続登記の義務化について、なぜこのような法改正がされることとなったのか、手続きを怠った場合の罰則や過料についても詳しく解説しましょう。
義務化の背景と理由
上記でも紹介した通り、これまで相続登記に明確な期限は定められていませんでした。
そのため、すでに亡くなった方の名義のまま放置され、実際の所有者が不明となっている土地や建物が数多く存在していたのです。
その結果、所有者を探すために膨大な時間と手間がかかり、空き家問題、公共事業や民間の不動産取引が円滑に進まないといった問題が生じていました。
そこで、このような問題を解消するために法改正が行われ、所定の期限内に相続登記を行うことの義務化が決定しました。
相続人申告登記制度とは
相続登記の義務化に合わせて、より簡易的に手続きが履行できるよう、新たに「相続人申告登記」という制度が設けられます。
従来、相続登記の申請にあたっては、すべての相続人を把握するための戸籍謄本などの資料を入手する必要があり、時間と手間がかかっていました。
そこで、「登記簿上の所有者について相続が開始したこと」、「自らが相続人であることを登記官に申し出ること」により、相続による所有権移転登記を行ったとみなすのが相続人申告登記です。
相続人申告登記制度では、登記官が上記の申し出を受けた後、登記官が登記簿に対して相続人所有者の氏名・住所などの情報を付記します。
相続登記をしなかった場合の過料
法改正によって相続登記の義務化がスタートした後、正当な理由がないにもかかわらず申請を怠った場合には、10万円以下の過料の対象となります。
「法律が変わったことを知らなかった」、「忘れていた」などは正当な理由とは見なされないため、しっかりとルールを把握し確実に手続きを行う必要があります。
- 相続登記義務化が適用される相続の範囲
法改正があると「施行後の法律関係」に対して適用されるのが一般的です。
しかし、実は今回の改正法は、相続の発生が法律の施行前であるか後であるかを問わず、いずれの相続についても適用されます。つまり、改正法施行前の相続に対しても、遡って改正法が適用されるということになります。
相続登記をしなければならない人
相続登記はどのような場合に手続きが必要となるのでしょうか。
義務化前に手続きを済ませておきたいという方のために、相続登記をしたほうが良い人のケースをいくつか紹介します。
親や親族が亡くなり不動産の相続を受けたが名義変更していない方
親やきょうだい、親族などが亡くなり、故人から遺産として不動産を相続した人は、相続登記によって名義を変更しなければなりません。
- 自分宛に財産を相続させる旨の遺言があるが、手続きをしていない人
自分宛に財産を相続させる遺言があっても、きちんと手続きをしなければ、そのことを第三者に主張することが出来ません。
相続登記を放置した場合のデメリット
2024年4月以降、相続登記の手続きを怠ってしまうと10万円以下の過料が課されると紹介しましたが、それ以外にもさまざまなデメリット・影響が出てきます。
権利関係の複雑化
相続登記を放置することにより、下の世代に進めは進むほど、一般的には関係者が増えていきます。
誰が相続人であるのか容易に調べることが出来なくなり、将来土地や建物を利用しようとするときに権利関係が複雑化し、解決するまでに多大な時間・費用・労力を要する可能性があります。
不動産の売却できない
相続人が不動産を売却しようとする際には、相続した相続人名義に相続登記が前提となります。
相続登記をしていないとスムーズに不動産を売却することが出来なくなります。
不動産を担保にして融資を受けられない
不動産は売買するだけでなく、土地や建物を担保に金融機関から融資を受けることもできます。
しかし、相続登記を放置したままにしていると、融資の手続きも滞ってしまい必要な資金が調達できなくなる可能性もあるでしょう。
差し押さえられる可能性
複数の相続人がいる場合、相続登記をする前に不動産が差し押さえられるケースも考えられます。
相続人の一人に借入金があり、返済が滞っている場合など、債権者によって不動産が差し押さえられるケースもあります。
相続登記の手続きと流れ
実際に相続登記の手続きを行う場合、どういった流れで進められるのでしょうか。
大きく分けると以下5つのステップが挙げられます。
- 相続する土地・建物の確認
- 相続人の確定
- 必要書類の収集
- 書類の作成
- 法務局への申請
特に重要なのは必要書類の収集と書類の作成です。
たとえば、相続人が複数人存在する場合、全員分の書類を役所などから取り寄せなければなりません。
そのため、相続人間での話し合いが終わったとしても書類が不足していると手続きに入ることができず、時間を要する場合も多いのです。
相続登記に必要な書類
では、相続登記の手続きを進めるにあたって、どのような書類を用意しておけば良いのでしょうか。
亡くなった人(被相続人)と遺産を相続する人(相続人)それぞれの書類に分けて紹介しましょう。
亡くなった人の書類
亡くなった人、すなわち被相続人の必要書類としては、以下の2点が挙げられます。
- 戸籍事項全部証明書(原則、出生から死亡まで全ての戸籍が必要です。)
- 住民票の除票又は戸籍附票(最後の住所を証する書面です。)
上記のうち、戸籍事項全部証明書は死亡時のものから出生時までさかのぼって入手する必要があります。
死亡時の戸籍事項全部証明書を確認し、本籍が移動されている場合には移転前の本籍地を確認し、管轄の役所から戸籍事項全部証明書を取り寄せます。
相続人側の書類
不動産を相続する側、すなわち相続人の必要書類は以下の3点です。
- 戸籍全部事項証明書(場合により、一部事項証明書でも可)
- 住民票(本籍地の記載が必要です。)
- 印鑑証明書(遺産分割協議を要する場合)
これらの書類は相続人全員分を役所から取り寄せ、準備しておく必要があります。
- また、上記以外にも相続による名義変更の際の登録免許税を計算するため、以下の書類が必要ですが、これらはいずれも各自治体の市役所等の固定資産税課(自治体により多少異なります。)で入手できます。固定資産評価証明書
戸籍謄本や印鑑証明書の有効期限は?
相続登記には、戸籍事項証明書や住民票、印鑑証明書などの書類を添付しなければなりませんが、有効期限はありません。
かつて途中まで収集していた書類は利用できることが多いです。
遺言書の有無
被相続人が遺言をのこしている場合には、遺言書を準備のうえ、原則その内容に沿って相続登記等の名義変更手続きを進めなければなりません。
また、相続人が複数人存在し遺産分割協議を行う場合には、協議内容をまとめた遺産分割協議書および印鑑証明書も準備しておく必要があります。
当事務所にご依頼頂ければ・・
当事務所にご依頼頂ければ、上記書類の中で印鑑証明書以外の書類は依頼人に代わり、収集することが可能です。
特に、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍を全て集める作業をご自身でやるのは、かなり労力を要する作業です。
また、遺言書がある場合には、無い場合に比べて必要書類の範囲が大幅に縮小されます。
詳しくはお問い合わせください。
相続登記にかかる費用はどれくらい?
相続登記の手続きは、相続人本人が自ら書類を作成し法務局へ申請するケースもあれば、司法書士へ依頼するケースもあります。
もし、いずれの方法であっても、相続登記にあたっては「登録免許税」とよばれる税金を納めなければならず、以下の計算式で算出します。
- 登録免許税=固定資産評価額×0.4%(百円未満切り捨て)
なお、固定資産評価額とは固定資産税などを算出する際に用いられる基準価格のことで、毎年送られてくる固定資産税通知書にも記載されています。
相続登記の申請手続きを司法書士へ依頼した場合には、およそ事案の内容により8~15万円程度の報酬が相場となっています。
まとめ
相続登記は従来、特に期限が定められていなかったため、不動産の売買時など必要なタイミングになってから行うケースが多くありました。
しかし、2024年4月からは「相続の開始があったことを知り」、かつ「当該所有権を取得したことを知った日」から「3年以内」に手続きをしなければならないルールへと変更されます。
権利関係の複雑化を防ぎ、スムーズな財産承継を実現するためにも、是非当事務所にご依頼ください。
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